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愛を知ったのは処刑に駆り立てられる日々の後だった

紹介文

 愛ってなんだろう?人間ってなんだろう?一度でもそんな疑問を持ったことがある人は、ぜひこの本を読んでみてください。
 ここに出てくるのは次のような人々です。国の軍隊や武装勢力に家族を殺された人、国の特殊部隊に入ってたくさんの人を殺してきた人、組織の少年兵となり人々を銃で処刑してきた人、無実の罪で3年間も収容施設に送られ拷問された人、国の弾圧に抗議するため焼身自殺をした人。その中にはみなさんと同じくらいの年の若者たちもいます。
著者(私が以前勤めていた会社で同期だったジャーナリストです)は彼らや彼らの家族に会いに行きます。ロシアへ。チベットへ。アフガニスタンへ。ベトナムへ。さらにはアメリカへ。そして、彼らの言葉に耳を傾けます。例えばこんな風に問いかけながら。「初めて人を殺したのは何歳だったの?」「あなたが拷問しろと命じられたとしたら、どうする?」。著者は、どんな人にも同じ温かさと敬意を持って接し、息づかいあふれる語りを引き出していきます。
 本書に描かれるのは、「被害者」「加害者」とか「極悪人」「可哀想な人」といった二分法ではとても語ることができない、人間の豊かで複雑で奥深い姿です。国や社会の不条理、その不条理がもたらす暴力や抑圧の中で、生き抜くために殺戮をした元兵士が語る誇りや苦しみと愛への渇望。家族や自由を奪われた絶望や悲しみを抱えた人々が見せる勇気と深い思いやり。深い痛みを愛に変える力が人にはある。平和とはほど遠い世界に生きる人々が「愛するとは何か」を私たちに教えてくれます。

紹介者
大島 寿美子 先生
所属学部
文学部
書名 愛を知ったのは処刑に駆り立てられる日々の後だった
著者名
舟越 美夏
分野
国際紛争
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所在
3F和書
請求番号
319/F