大学生であるみなさんは、占いなど人間の心に関することに興味をもたれていることと思います。占いの類は、ある意味において人間関係を活性化させてくれる潤滑油のような働きがあります。しかし、そんな占いをはじめとして、心霊現象だとか魔術的なことだとか、「○○しなければ、あなたは地獄に落ちるわよ」などと脅迫的な言葉を巧みに用いて人間の心のスキマに入り込もうとする悪人がいることも事実です。大学生は時間に余裕がある学生さんが多いですし、人間の発達段階においてもより多感な時期にあるので、特にこのようなターゲットになりやすいのです。この本は、心霊現象やタブーとされてきた魔術的現象に科学的なメスを入れ、どうすればそのようなことに引っかからないかではなく、どう考えればそのような思考にならないのかを解説してくれています。 　驚く例を一つ。４０人のクラスに同じ誕生日の人がいる確率はどのくらいだと思いますか？おそらくほとんどの人がそのような確率は大変低いに違いないと思ってしまいます。しかし、実はそうではなく、確率を科学的に計算すると約９０％にも及ぶのです。ですから、１クラスに同じ誕生日の人がいることが珍しいのではなくて、いて当たり前なのですね。 　この例が物語るように、人間の認識というのはとても偏っているのです。その認識の偏りに関する心の働きについて、この本は警鐘を鳴らしています。