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おすすめ本

先生のおすすめ本

One child

紹介文

(再掲載:2007年12月掲載)  この本はアメリカの児童心理学者で、特殊学級の教師、大学講師でもあるTorey Haydenという女性作家の作品です。日本語では「シーラという子」というタイトルで翻訳が出ています。  私は英語教師という立場上、英語の力、知識を維持するためにも多読を取り入れ、普段から英語を読むようにしていますが、やはり面白くない本は飽きてしまいます。しかし、北星学園大学の図書館で見つけたこの本は最後まで読み終わるまで飽きることなく、読み終わった時の感動ははかり知れないものでした。  この本は、母親に見捨てられ、父親に虐待を受け、6歳で傷害事件を起こし、心を閉ざし場面寡黙症(elective mutism: 心理的原因により、学校や幼稚園など特定の場面で話せない状態)になっている少女と作家本人でもある特殊学級の教師との間で繰り広げられる、心と心のやり取りが描かれている本です。  この作家は特殊学級の教師として、制度、行政、親、同僚、子供たち本人との協力や挫折、闘いを描くことによって、アメリカや日本の教育のあり方、子供の権利、幼児虐待などの問題に対して警鐘を鳴らしていると思います。  子供は一人一人違い、最適な教育というのもまた一人一人違う。子供の心は傷つきやすく、また愛を持って触れ合うことでまた立ち直り成長していくものだ、という当たり前のことを気づかせてくれた一冊の本でした。

紹介者
江口均先生
所属学部
文学部
書名 One child
著者名
Torey L. Hayden
分野
ルポルタージュ
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所在
1F外国書
請求番号
936/Ha