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きみがアリスで、ぼくがピーター・パンだったころ : おとなが読むファンタジー・ガイド

紹介文

 学生の皆さんはグリム童話を御存知ですか?ピンとこない方でも「白雪姫」「赤ずきん」「ヘンゼルとグレーテル」などの話を知っているのではないでしょうか。グリム童話とはそれら物語をまとめた童話集のことです。私がこのグリム童話を読んだのは,小学校低学年の時だったような気がします。当時は,日本の昔話と異なる不可思議な設定に違和感を感じつつも,物語の中に隠された西洋風の教訓めいたものを理解し,グリム童話の奥深さに驚いたものでした。  ここで紹介する著書は,6年前にグリム童話の裏話を載せた『本当は恐ろしいグリム童話』という本の続編(?)にあたるものです。主に『本当は恐ろしいグリム童話』が裏話を中心に解説しているのに対し,本書はなぜそのような話を創作したのか?という作者に焦点を当てたものです。本書では,作者の意外な経歴やトラウマを伴った悲しいエピソードなどの情報を基に,なぜ醜いアヒルの子が白鳥になったのか?なぜ人魚姫は悲劇になってしまったのか?悪夢のような世界でなぜ年老いた白の騎士はアリスに優しいのか?という疑問点を噛み砕いて解説しています。本来ならば気にも留めないような事柄ですが,その登場人物の性格や仕草に作者の並々ならぬ強い思いが込められているのだということを実感することができます。ちょっとした小話をするにはあつらえむきな本と言えます。

紹介者
高橋義文先生
所属学部
経済学部
書名 きみがアリスで、ぼくがピーター・パンだったころ : おとなが読むファンタジー・ガイド
著者名
風間賢二
分野
児童文学研究
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所在
3F和書
請求番号
909.3/K