図書館員のおすすめ本
ツミデミック
紹介文
今回はコロナ禍を背景に「罪」をテーマとして作品に取り組んだ著者一穂ミチさんの朝日新聞の書籍情報サイトのインタビュー記事をまとめました。
著者の一穂ミチさんは [好書好日Good Life With Books] (2024.2.9)のインタビューにおいて「暗いニュースが続いているなかで小説家・一穂ミチとしての役割をどう感じていますか。」との質問を受け、彼女はこう回答しています。『(省略)…「創作物が希望」というよりは、「創作物を受け取ってくれるだれかがいることが希望」なのかなって思います。昔読んだ「夜と霧」を思い出しました。ヴィクトール・フランクルというユダヤ人精神科医によるアウシュビッツ強制収容所の体験記なのですが、一番覚えているのが、そんな極限状態に置かれながらも夕陽を見て「世界はどうしてこんなにきれいなんだろう」と感動するところ。自分に何ができるのかはわかりませんが、創作物の果たす役割というのを、私が最初から全部諦めるわけにはいかないなって思います。』(『あの3年間を書いておいてよかった』より抜粋)
インタビューのとおりウィルスに翻弄されたあの3年間を記録した彼女はストーリーテラーとして見事にコロナ時代の文学を極めたと感じました。物語は一編完結型の六編を収録しています。作品が進むにつれ絶望から希望の光へと導きます。ぜひ一度手に取って欲しい作品としておすすめします。
紹介者 |
しまふくろう
|
---|---|
書名 | ツミデミック |
著者名 | |
分野 |
近代小説
|
蔵書検索 | |
所在 |
3F和書
|
請求番号 |
913.6/I
|