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日の名残り

紹介文

イギリスの気品溢れる執事の姿を土屋政雄氏の見事な翻訳のより厚みのある人物像として表現されています。物語は戦争が過ぎ去り、歴史ある屋敷の主(あるじ)がアメリカ人になっています。執事のスティーブンスの目下の悩みはアメリカンジョークへの最適な返しです。ある日、主(あるじ)の思いつきでスティーブンスは旅に出掛ける羽目になり、その道中で、長らく心の奥に封じ込めていた曖昧な記憶と向き合うことになります。忠誠心ゆえに非難される立場に立たざるを得なかったスティーブンスの過去の行動は、読む者の心を揺さぶります。そして物語は、旅の最大の目的であるミス・ケントン(ミセス・ベン)との再会へと向かっていきます。 
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 2025年5月、HONTANの黒板展示では『おだまりローズ』が紹介されました。本作は、メイドとして仕えたローズの視点から綴られる回想録です。
 
『日の名残り』を読み、心にしこりが残った方には、ぜひ本作も併せて手に取っていただきたい一冊です。こちらは、激動の時代に主(あるじ)に尽くしたローズの思いが、別の角度から描かれており、読後にはある種の爽快感すらもたらすことでしょう。

 

紹介者
しまふくろう
書名 日の名残り
著者名
カズオ・イシグロ著 ; 土屋政雄訳
分野
近代小説.物語
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所在
閉架 CS124197
請求番号
933/I