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姑獲鳥の夏

紹介文

 2025年7-8月にHONTAN黒板展示(テーマ「夏」)にて本書が紹介されました。著者の京極夏彦さんは北海道小樽市出身、本作が百鬼夜行シリーズのデビュー作にあたります。古本屋「京極堂」を営む主人公の中禅寺秋彦は民族学、宗教学、心理学から科学に及ぶまで幅広い知識を持ち合わせ、「この世には不思議なことなど何もない」と語ります。語り尽くしたい博学を一方的に説明されますが、その蘊蓄は巧妙に物語の伏線に憑き物かのように絡み合い「真実」を浮かび上がらせます。単なる謎解きではなく、人の心に潜む弱さを浄化させるよう、すべての根底にある人の正しさを見つめます。
 読み終わったあと、私は無意識のうちに正しい目を意識づけられ、見ている世界ひとつひとつ正しく解きほどくことこそ今を生きる上で大事ではないかと思わされました。百鬼夜行とは、日本の説話など登場する深夜に徘徊する妖怪ですが、京極夏彦さんが高校時代に美術部で描いた妖怪の絵の才能も素晴らしいです。『ビジュアル&デザインで愉しむ京極夏彦の世界』請求記号910.268/K [P112.京極夏彦の妖怪画] も併せてお勧めします。

 

 

      

 

紹介者
しまふくろう
書名 姑獲鳥の夏
著者名
京極 夏彦
分野
近代小説.物語
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所在
3F和書
請求番号
913.6/K