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図書館員のおすすめ本

伯爵夫人

紹介文

「ばふりばふり」と優雅に回る回転扉の美しさには、通り抜けに細心の注意が求められます。この小説もまた、興味本位で手に取り自分の頭で考えないで語りだすと火傷するかもしれません。全編にわたる性交描写、これはあくまでも錯覚(まやかし)であり、作者が本当に語りたい事象は、言語の精巧さ、音の響きが生み出す情景、そして言葉そのものが持つ創造する力ではないかと感じました。三島由紀夫賞の授賞式の記者会見で、擬態語に関する質問に対し、作者は「70年前に読んだ本の記憶」だと語りました。それは、作者の記憶の奥底に刻まれた「言葉」への終わることのない探究心の表れであると感じられます。

紹介者
しまふくろう
書名 伯爵夫人
著者名
蓮実 重彦
分野
近代小説.物語
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所在
3F和書
請求番号
913.6/H