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本心

紹介文

 著者・平野啓一郎氏は、第21回(2008年)から第32回(2019年)まで、三島由紀夫賞の選考委員を務めていました。
 この作品を読み終えた夜、私は小鳥をそっと捕まえ、誰にも気づかれないように机の抽斗にしまい込むという、不思議な夢を見ました。物語の余韻が夢に溶け込んだような感覚―掴みどころのない浮遊感のなか、何か大切なものを探し求めるようなイメージが残りました。
 本書には、正直なところ、興味を持てない(納得がいかない)箇所もありましたが、それでもなお、この本は、生涯を通じて大切にしたい一冊として、机の抽斗の奥にそっとしまっておきたくさせられました。
 物語の中盤、ふと頭をよぎったのは、かつて観た映画「タクシードライバー」の感覚でした。まさかその映画のタイトルが物語の中に登場するとは思っていなかったので、映画のタイトルが現れたその瞬間、胸が熱くなるようなこみ上げる感動がありました。
 ちなみに、この映画の脚本家ポール・シュレイダーが監督した幻の作品『MISHIMA』は、今年(2025年)、東京国際映画祭にて、公開から40年を経て初めて日本で上映されています。

紹介者
しまふくろう
書名 本心
著者名
平野 啓一郎
分野
近代小説.物語
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所在
3F和書
請求番号
913.6/H