図書館員のおすすめ本
スワン
紹介文
冒頭、まるで三流小説か、昭和の漫画本かのように、擬音だけで銃撃戦が表現されます。見えそうで見えない複数の殺戮者たちの曖昧な動機が絡み合い、短い映像のカットの連続とともに、銃撃戦は立体化することなく終わりを迎えます。銃撃戦が鳴り止むと、映写機のフィルムが「カラン、カラン」と空回りするような感覚を思い起こします。読者は状況を掴みきれぬままページをめくり、気づけば冒頭だけで短編映画を観たような感覚に陥ります。そして、そこから物語の謎解きが始まるのです。
スタイリッシュな語り口で展開されるこの小説には、随所に散りばめられた粋なセリフが光ります。「四月は残酷な季節」、「密室の恐怖の実験」、「タランティーノは天才」、「この世界が不実ゆえ、我は喪に服す」、「ドラクロアの殺戮の絵画」、「ダイ・ハード」、「ロメロ」、「ガス・ヴァン・サント」、、、、、、、、
映画『爆弾』で目覚ましい活躍を見せる呉勝浩さんの世界観を、じっくりと味わっていただきたいです。
| 紹介者 |
しまふくろう
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|---|---|
| 書名 | スワン |
| 著者名 | |
| 分野 |
近代小説.物語
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| 蔵書検索 | |
| 所在 |
3F和書
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| 請求番号 |
913.6/G
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