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去年、本能寺で

紹介文

 アシカガ・ショーグネイト崩壊後、AIは長足の進歩を遂げる。軍事AIが合戦を司り、文事AIが詩歌、楽曲の生成に勤しむ世界で、つわものたちは何を思惟するのか? 歴史小説のはずが、ミステリあり、スペースロマンあり、アイドル活劇あり、異世界転生まであり! 何でもあり! 円城ワールド全開の戦乱ラプソディー!(※新潮社より抜粋)
『去年、本能寺で』は11の短編が収録されている歴史SF小説だ。取り上げられる時代はバラバラで、平安・室町・戦国・江戸などの有名どころから、旧石器時代や宇宙の始まり(!?)と守備範囲がやけに広い。そして、上記のあらすじからわかるとおり、カオスが渋滞している。どの短編も基本的に「語り継がれてきた歴史の幕間や、現代の新解釈との辻褄を合わせる」ため、登場人物がなにやら暗躍している。それも突拍子のない方法で。
 さらにストーリーだけでなく、文体も一風変わっている。抽象的かつメタ要素に満ちた語り口は、読者の思考を惑わせ、迷わせる。しかし、後味はあくまで軽やか。静かな余韻に満ちている。また『古今和歌集(コレクション・オブ・ジャパニーズ・ポエムス・オブ・エンシェント・アンド・モダン・タイムス)』といった横文字満載のルビも興味深い。
 読む人を選ぶ小説だが、気になっている人はぜひ表紙をじっくり眺めてほしい。作品の世界観を見事に凝縮している。きっとこのレビューよりも雄弁に、あなたへ語りかけてくれるだろう。

紹介者
北斗八星
書名 去年、本能寺で
著者名
円城塔
分野
近代小説.物語
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所在
3F和書
請求番号
913.6/E