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木挽町のあだ討ち
紹介文
木挽町のあだ討ち
『仇討ち』と聞き及びますれば、まずは人情噺のごとき涙腺をくすぐる物語を思い浮かべられる方も多かろうと存じます。また、昭和生まれの御人におかれましては、古き良き笑いの種として親しみを覚えておられる向きもございましょう。かく申す拙者も、実のところ長きにわたりこの手の読み物をつい遠ざけていたものでございます。されど近ごろ、写し絵芝居なるものを一瞥し、その妙味ようやく腹に落ち入り、こうして筆を執る運びとなったところにございます。(前置きは無用、本題へ)
さて物語は、『仇討ち』を果たさねば国許へ戻ることすら許されぬという、何とも厳しき宿命の時代に成就された「木挽町のあだ討ち」を描いております。その『あだ討ち』、あまりの見事さゆえにたちまち評判となり、人々の口から口へと語り継がれ、語り手たちのそれぞれの過去が折り重なっていく構成に読者もその世界に引き込まれます。時代小説でありながら、謎解き仕掛けも実に巧みで、とりわけP266にある最後の語りには、本作が描こうとしたテーマが凝縮されているように感じられます。
時代劇がどうにも性に合わぬ、とこれまで身を引いてこられた方にこそ、ぜひともお手に取っていただきたい一冊でございます。
【第36回山本周五郎賞】、【第169回直木三十五賞】、【週刊文春ミステリーベスト2023年-8位】、【このミステリーがすごい2024年-6位】、【ミステリが読みたい2024年-4位】
| 紹介者 |
しまふくろう
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|---|---|
| 書名 | 木挽町のあだ討ち |
| 著者名 | |
| 分野 |
近代小説.物語
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| 蔵書検索 | |
| 所在 |
3F和書
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| 請求番号 |
913.6/N
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