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タダイマトビラ

紹介文

 村田沙耶香さんの『消滅世界』の英訳Vanishing World(竹森ジニー訳)が、アメリカのSF雑誌『Locus』のローカス賞(翻訳部門)の最終候補作に選出されました。惜しくも受賞(2026.5.30)には至りませんでしたが、村田沙耶香さんの作品は、『コンビニ人間』が世界46の国と地域で翻訳され累計300万部を突破するなど、国際的に高い評価を得ています。今後のさらなる活躍にも期待が寄せられています。
 今回は、2012年の第25回三島由紀夫賞候補作をご紹介します。
 物語は、家族の愛を感じることなく育った主人公の恵奈は、疑似家族を満たす役目のニナオとカゾクヨナニーに没頭する日々が続きます。家族の愛を自己処置で満たす日々のなか、早く本当の恋をして、理想の家族の扉を待ち望む恵奈は、恋人の浩平と急き立てられるように恋に流されます。しかし、その恋は自分がニナオに成り代わっただけの浩平のカゾクヨナニーだと気づきます。恵奈の扉を目の前に出現させるために作者がとった答えは予想もつかない展開でした。
 予想を超える世界を作り上げる村田沙耶香ワールドは不気味でありながらも、新世紀の幕開けを感じさせます。読み進めるうちに私は、虚無の世界を体感したことで究極の絆を知ることになるケン・ラッセル監督の映画アルタード・ステーツ/未知への挑戦(Altered states)で味わった感覚を思い出しました。「家族」に鋭いメスを入れ、常人の域を超えた彼女の発想力が極限の扉へと突き進みます。

 

紹介者
しまふくろう
書名 タダイマトビラ
著者名
村田 沙耶香
分野
小説.物語
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所在
3F和書
請求番号
913.6/M