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ノウィットオール

紹介文

 Official髭男dismの『Pretender』に漂う「もし、違う設定、違う選択があれば」という思い。『時をかける少女』(細田守監督)が描く、幾重にも分岐する時間の可能性。「世界線(worldline)」とは、時空内において物体や観測者がたどる軌跡を表す物理学の概念です。この概念は、ヘルマン・ミンコフスキー(Hermann Minkowski)が提唱した四次元時空(ミンコフスキー時空)の考え方に関連しています。近年では物理学の枠を超え、文学やフィクションの分野においても、複数の可能性をもつ人生や歴史の分岐、あるいは「もし別の選択をしていたら」という並行的な物語構造を表現する比喩として広く用いられています。
 本作の短編もまた、それぞれ独立した物語でありながら、読み進めるうちに見えない糸で結ばれ、やがてひとつの軌跡を描き出します。偶然に思えた出来事やすれ違っていた事柄が、最後には必然だったかのように収束していきます。
 この感覚は、内田けんじ監督・脚本の『運命じゃない人』(2005年)や、同脚本『名探偵コナン 江戸川コナン失踪事件 ~史上最悪の2日間~』(2014年)、やがてひとつの世界を形づくります。本作の魅力はまさにそこにあります。読み終えたとき、ばらばらだった物語が同じ世界線の上に存在していたことに気づかされます。すべての謎が解き明かされたとき、本作のその真実を知るのはタイトルが示すとおりノウィットオール(直訳)なのです。
 

紹介者
しまふくろう
書名 ノウィットオール
著者名
森 バジル
分野
近代小説.物語
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所在
3F和書
請求番号
913.6/M