図書館員のおすすめ本
田村はまだか
紹介文
人生には、思いどおりにならないことや、思いがけない出来事が数多くあります。
物語の舞台は札幌・すすきの、スナック「チャオ!」。元同級生たちは、なかなか姿を見せない田村を待ちながら、それぞれの人生を語り始めます。読者もまた彼らと同じように「田村はまだ来ないのか」と待ちわびながら、その場に居合わせているかのような感覚に引き込まれていきます。小さなスナックで交わされる会話の中から浮かび上がるのは、人生半ばを迎えた40歳ならではの後悔や迷い、それでも彼らは、わずかな希望を胸に抱き続けています。姿を見せない田村は、不在でありながらも強い存在感を放ち、彼らにとって心の拠り所のような存在となっています。そして、彼の存在があってこそ、それぞれを飾らない本来の自分へと立ち返らせていくのです。本書を読みながら、私も登場人物たちと一緒に「田村はまだか」と心の中でつぶやき、彼らの過去と現在が交錯するエピソードに引き込まれ、田村は本当に現れるのだろうかという期待と不安を抱きながら、気づけば夢中でページをめくっていました。
読後には、コロナ禍を機に足が遠のいてしまった馴染みの店のマスターのことをふと思い出しました。何気ない会話を交わし、気軽に顔を出せる場所や人の存在は、自分が思っている以上に大切なものなのかもしれません。本書は、人と人とのつながりの温かさと、人生を支えてくれる存在の尊さを改めて感じさせてくれる一冊でした。
図書館では、図書館ボランティアによる「HONTANのおすすめ本」を毎月ホームページで紹介しています。本を読んで感じたことや気づいたことを共有することで、新たな発見や読書の楽しさが広がっていくことを願っています。そして、多様な視点に触れることで、一人ひとりの学びの幅を広げるきっかけになればと思います。
| 紹介者 |
しまふくろう
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|---|---|
| 書名 | 田村はまだか |
| 著者名 | |
| 分野 |
近代小説.物語
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| 蔵書検索 | |
| 所在 |
3F和書
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| 請求番号 |
913.6/A
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