図書館員のおすすめ本
平場の月
紹介文
すべての事象には言葉では語り尽くせない理由があり、すべての世界には目に映らない理屈が潜み、すべての感情は表現しきれない運命に縛られます。それでもなお、抗いがたく二人を引き寄せてしまう因果、大人だから、もう十分に大人になってしまったからこそ、越えられない一線があります。青砥の激しく揺れ動く感情が物語を揺さぶるなか、頑なで一途な須藤の静かな姿が、痛いほど心に迫ります。
物語は、独り身となった青砥と、同じく独身となった中学時代の同級生・須藤という五十歳の男女が再会し、老いた家族や自身の健康への不安を抱えながら、互いの心の隙間を埋めるように静かな熱を交わしていく姿が描かれます。何の変哲もない街の風景、噂話に興じる地元の同級生たち、そうした平場の現実的な情景を背景に、「大切な人とつながっていたい」という切実な願いが胸を打ちつけます。
多くの経験を重ねた大人だからこそ抱えるためらい、それでも消すことができない思い。本書は、人と人とのつながりの意味を改めて問いかけながら、誰かを大切に思う気持ちの温かさと切なさを感じさせてくれる一冊です。
図書館では、図書館ボランティアによる「HONTANのおすすめ本」を毎月ホームページで紹介しています。本を読んで感じたことや気づいたことを共有することで、新たな発見や読書の楽しさが広がっていくことを願っています。そして、多様な視点に触れることで、一人ひとりの学びの幅を広げるきっかけになればと思います。
| 紹介者 |
しまふくろう
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|---|---|
| 書名 | 平場の月 |
| 著者名 | |
| 分野 |
近代小説.物語
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| 蔵書検索 | |
| 所在 |
3F和書
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| 請求番号 |
913.6/A
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