図書館員のおすすめ本
満潮
紹介文
『カンヌ国際映画祭2026』の独立部門「第58回 監督週間」で矢野ほなみ監督のアニメーション作品『エリ』が選出されました。こちらの作品は、朝倉かすみさんの『ほかに誰がいる』が原作となります。今回は、『ほかの誰がいる』と同じくらい言葉にできないほどの衝撃を与える世界を紹介します。
本書は、物語が進むにつれ狂気に彩られた海面が上昇した先の『満潮』のようです。
物語は、独特な時間の設定で語られながら、眉子という一人の女の輪郭を少しずつ浮かび上がらせます。その美貌は現実離れした妖しさを帯び、人を惹き寄せ、惑わせるような伊藤潤二作品の富江や、故・楳図かずお作品のおろちの雰囲気を思わるほどです。
誰かに求められることでしか自分を保てない彼女の一方で、幼さを引きずった自尊心に囚われ、歪んだ妄想の中に現実を歪ませる茶谷の虚無感のなかにある『満月』が欠け始めます。
過去の出来事は過ぎ去ったいにしえ、現実こそがその一瞬、その先は生きることでしか未来が見られません。過去と現在を同時に見つめる目が喪失した瞬間、狂気に彩られた海面が満潮を向かえ、純情と狂気を抱えながら生きる不可解さが爆裂します。読後、「闇の世界」が忘れられないほどのインパクトを残します。
図書館では、図書館ボランティアによる「HONTANのおすすめ本」を毎月ホームページで紹介しています。本を読んで感じたことや気づいたことを共有することで、新たな発見や読書の楽しさが広がっていくことを願っています。そして、多様な視点に触れることで、一人ひとりの学びの幅を広げるきっかけになればと思います。
| 紹介者 |
しまふくろう
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| 書名 | 満潮 |
| 著者名 | |
| 分野 |
近代小説.物語
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| 蔵書検索 | |
| 所在 |
3F和書
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| 請求番号 |
913.6/A
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