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ラグビー日本代表監督エディー・ジョーンズの言葉 : 世界で勝つための思想と戦略
紹介文
最近、私が最も感動したシーンは、ラグビーワールドカップ2015イングランド大会で、ラグビー日本代表が南アフリカ代表に勝った場面です。南アフリカは、過去2回優勝、WCでの勝率1位(25勝4敗:勝率0.862)、世界ランキング3位の優勝候補。対する日本は、WC出場国中での勝率最下位(1勝21敗2引分け:勝率0.045)、24年間勝利なし。番狂わせの少ないラグビーでは、誰もが南アフリカが勝利すると思っていました。ところが日本代表は、後半ロスタイムに同点を狙わずに連続攻撃を仕掛け、最後の最後に逆転トライを奪い、劇的な勝利を収めました。 このような状況だけを述べると、日本代表に奇跡が起こったと思われるかもしれません。世間でも「スポーツ史上最大の番狂わせ」と評せられもしました。しかし日本代表チームのワールドカップ南アフリカ戦への準備・取組みを知ると、この勝利は奇跡ではなく、必然の結果であったことがわかります。 ワールドカップ後、私は日本代表ヘッドコーチのエディー・ジョーンズ氏関連の本を何冊か読みました。その中でも、最もわかりやすくエディーさんの取組みが書かれていたのがこの本でした。印象的な部分を紹介します。 エディーさんは、日本が長年勝てない理由として、日本のラグビー文化や日本人の考え方を指摘しました。「体が小さいから」「農耕民族だから」「全員がプロでないから」など、試合を行う前から自分たちが負けてもよい理由を準備していると言うのです。私も長年ラグビーと関わってきたので、このような言葉をよく耳にしてきましたし、それだから仕方がないのかなと思っていました。しかしエディーさんは、このような考え方では一生勝てない、できない理由よりも何ができるのかを考えるべきである、と述べています。実際、彼は日本人の特徴である低さや忍耐力を長所として捉え、その部分を伸ばすような練習をしました。これは一例ですが、WCで勝利するため、南アフリカに勝つために約4年間をかけて様々なことを準備していたのです。このような準備の結果としての勝利だったのです。ついついできない理由から考え、頭が固くなっているのは、私だけではないと思います。できることを考える。そうすれば、楽しくなるし、可能性も広げてくれるのではないでしょうか。
紹介者 |
蓑内豊先生
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所属学部 |
文学部
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書名 | ラグビー日本代表監督エディー・ジョーンズの言葉 : 世界で勝つための思想と戦略 |
著者名 | |
分野 |
スポーツ
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蔵書検索 | |
所在 |
3F和書
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請求番号 |
783.48/S
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