メインコンテンツに移動
おすすめ本

図書館員のおすすめ本

古道具中野商店

紹介文

 中野商店という古道具店でバイトする主人公の日々を描く、どこか気の抜けた、でもはらはらもしんみりもある物語です。なんといっても魅力は、独特の雰囲気をもつ登場人物たちです。「骨董ではなく古道具」にこだわる店主の中野さんは、飄々としています。三人目の妻のほかに美人の愛人をもっていて、「銀行に行ってくる」と言ってはお店をさぼって会いに行ったりします。でも全然色男風ではありません。バイト仲間のタケオは無口で、何を考えているのか分からないところがあり、小指の傷のせいで人間不信ぎみです。「そんなことないす」などと崩れた敬語で話します。中野さんのお姉さんのマサヨさんは、50代半ばで独身の芸術家。ずばずばとものを言い、何もかも見透かした感じがするのに、それでもなお乙女の香りがします。主人公のヒトミは、その変な古道具店に馴染んでいるところが、やっぱり変です。恋愛の仕方も間が抜けているように思えます。でも、泣いたり怒ったり怖くなったりして、普通の女性として共感できます。そしてそんな中野商店に、これまた妙な客が妙なものを持ち込んだりして、物語はのんびりと展開していきます。  川上弘美は、漢字と平仮名の使い方が独特で、日本語をとても大切に扱う作家だと思います。ひとつひとつの言葉をよく味わいながら読みたくなる作品です。 

紹介者
職員B子
書名 古道具中野商店
著者名
川上弘美
分野
日本文学
蔵書検索 検索
所在
3F和書
請求番号
913.6/K