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兼業詩人ワタナベの腹黒志願

紹介文

 タイトルに興味を惹かれて手に取りました。詩人のエッセイというだけでは胡散臭いイメージが拭えませんが、ただの詩人ではなく、「兼業詩人」とあります。そしてなぜだか「腹黒志願」。センチメンタルな香りは少しもしません。渡邊十絲子という詩人は聞いたこともないけれど、これは面白そうだと思わずにはいられませんでした。  自らを「兼業詩人」と名乗る、詩だけでは食べていけない、主婦であり詩人である渡邊氏のWebマガジンの書籍版です。詩人らしい日本語へのこだわりや(アジエンスのCM「結ってもあとがつかない」のイントネーションを、みなさんはおかしいと感じますか?)、詩人と名乗るときの何とも奇妙な気後れなどを、小気味よい文章で語っています。また、詩人とは関係のない日々の記録も楽しませてくれます。最強の町内会のある町での付き合い方や、ゴキブリ撃退のコツ、美容室がいかに憂鬱かの力説など、共感できるものもできないものも笑えるエピソードばかりです。基本的に渡邊氏は、口は悪いのですが、詩人らしくデリケートで気が弱いところもあり、そのギャップが魅力的です。根本のところでは正義感のあるまっすぐな人なのだなと感じるのも気持ちがいいです。  ぜひ詩の方も読んでみようと思い調べると、絶版になるなど入手が難しいものもあり、兼業詩人たる所以をうかがわせてくれます。

紹介者
職員B子
書名 兼業詩人ワタナベの腹黒志願
著者名
渡邊十絲子
分野
エッセイ
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所在
3F和書
請求番号
914.6/W