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デッドエンドの思い出
紹介文
銀杏の落ち葉の中で子供が追いかけっこをしている、秋らしい表紙の本が、今回ご紹介する『デッドエンドの思い出』です。『キッチン』や『アムリタ』などでご存知の方も多いよしもとばななの2003年の作品です。 短篇が5編入ったこの物語。全てが少し寂しい別れの物語です。物語の大きな展開はありませんが、しっとりと心に染みるお話ばかりです。 そして表題作の「デッドエンドの思い出」は、本書の中でも最後に位置していますが、出会えてよかったと思える物語です。婚約までした恋人に久しぶりに会いに行ったら、なんと新しい恋人と暮らしていた。ショックを受けて泣き暮らしていたが、そこで出会った純真な青年に主人公は救われていく。この状態でこの瞬間にこの人と一緒にいられたこと、それが人生の最低の場面で最高の思い出となるのです。 作者自身が、あとがきで「私はこの中の『デッドエンドの思い出』という小説が、これまで書いた自分の作品の中で、いちばん好きです。これが書けたので、小説家になってよかったと思いました。」と記しています。辛いのだけれども前へ進んでいける、心震える作品です。
紹介者 |
職員B子
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書名 | デッドエンドの思い出 |
著者名 | |
分野 |
日本文学
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蔵書検索 | |
所在 |
3F和書
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請求番号 |
913.6/Y
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