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ブータンと幸福論 : 宗教文化と儀礼

紹介文

 ブータンという国のことを知っていますか。中国とインドに挟まれた小さな国がブータンです。この小さな国に魅了される日本人が後を絶ちません。その秘密、キーワードは「幸福」です。ブータン国王は「GNPよりもGNH(Gross National Happiness:国民総幸福)が大切だ」と発言しています。実際、ブータン国民の多くが、昔ながらの自給自足の生活でありながら、貧富の差も少なく、豊かな生活を送り、自分たちを「幸福だ」とみなしていると言われています。  このようなことから、「理想郷」「秘境」などと表現されることの多いブータンですが、本書ではそうしたイメージを検証し、現在のブータンを正しい目で伝えようとしています。移民問題、テレビや携帯電話の普及、民俗言語の伝承など、ブータンも近代化への様々な問題を抱えていることが分かります。しかし一方で、鶴を守るために電線を引くのを諦めた村のエピソードなどは、私たちをはっとさせます。  日本は経済発展を第一として、あるときは個人の幸福を犠牲にしながら先進国となりましたが、ブータンは違う道を辿っています。急ぎすぎない近代化という対照的な政策をとる国として、この国の文化・生活・政治・宗教を知ることは私たち日本人の既成の価値観を見直すきっかけとなることでしょう。

紹介者
職員B子
書名 ブータンと幸福論 : 宗教文化と儀礼
著者名
本林靖久
分野
文化人類学
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所在
3F和書
請求番号
389.258/M