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アヒルと鴨のコインロッカー

紹介文

 ブータン人の登場する小説です。仙台が舞台のミステリー。  主人公は、大学入学のために独り暮らしを始めますが、引っ越してきたとたん、隣人に「一緒に本屋を襲わないか」と持ちかけられます。それも、一冊の『広辞苑』のために。現在と二年前のエピソードが交互に展開し、ばらばらだった話に仕掛けられた謎が次第に解けていく、という物語です。この作品は2003年度の「第25回吉川英治文学新人賞」受賞作品でもあります。  この小説で、ブータン人の文化として「鳥葬」や「一夫多妻」「一妻多夫」「ダルシン(お経が書かれた幟)」などが紹介されています。ブータン人のドルジは、輪廻転生を信じ、男女関係についておおらかで、のんびりした人物として描かれています。しかし、ブータンでは殺人はないのかと問われたときに「滅多にないけど、でも、時々はある」と答えている寂しそうなドルジは、作者がブータンを単なる理想郷として捉えてはいないということを表していると思います。  日本の若者とブータンの若者との交流を描くミステリー。ブータンに興味を抱くきっかけになるかもしれません。

紹介者
職員B子
書名 アヒルと鴨のコインロッカー
著者名
伊坂幸太郎
分野
日本文学
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所在
3F和書
請求番号
913.6/I