図書館員のおすすめ本
ヒトラーの防具
紹介文
夏にぴったりの長編小説をご紹介します。 第二次世界大戦中のドイツを舞台とした物語です。上下2冊の分厚い文庫本ですが、ぐいぐい読めてしまいます。「戦争ものは暗くて苦手」という先入観を吹き飛ばす、感動大作です。 まず、書き出しから引き込まれます。ドイツの大学の倉庫から、なぜか日本の剣道の防具が発見されます。そしてその防具は、日本からヒトラーへ贈ったものであることが判ります。ヒトラーにこの防具を贈ったのは誰か?物語は、防具を贈ったハーフの青年将校香田光彦へとおりてゆきます。日本から在独軍人としてドイツに駐在することになった香田光彦は、他の日本軍人と同じように、ヒトラーへの尊敬を胸にドイツへ到着します。しかし、ドイツで医師をしている兄雅彦との会話などから、ドイツの歩もうとしている方向に疑問と危機感を抱き始めます。光彦は、ヒトラーに魅せられて歪んでいくドイツや日本を止めようともがきながら、戦争に巻き込まれていきます。軍人としての役割と、下宿先などで良心を失わずに頑張っている一般市民への共感との間で、彼は苦しむことになります。 この本の特徴は、主人公の香田光彦を読者が大好きになれるところです。ドイツでも居合の練習を欠かさない男らしさ、ドイツ市民と心を通わす優しさ、ドイツ軍からも日本軍からも一般市民からも必要とされる人望の厚さなど、魅力あふれる主人公に出会えます。
紹介者 |
職員B子
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書名 | ヒトラーの防具 |
著者名 | |
分野 |
日本文学
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蔵書検索 | |
所在 |
3F和書
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請求番号 |
913.6/H
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