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名もなき毒

紹介文

 主人公は、大手会社会長の愛娘と結婚し、逆玉の輿に乗った杉村。会社では同僚からの嫌味を受け流し、家庭では妻と娘を大切にする温和な人物。彼は偶然から、毒物を使った無差別連続殺人の被害者の遺族と関わりをもってしまう。一方で、杉村の雑用係として働いていた女性アルバイトが職場でトラブルを起こす。調べてみると、彼女の履歴書は嘘だらけ、彼女は筋金入りのトラブルメーカーだと判明する。  彼女を嘘へと駆り立てるものは一体何だろうか。そして、連続殺人犯の行方は?物語は、クリスマスに突入します。            クリスマスの幸せな雰囲気の中、妻と娘の待つ温かいわが家へと向いながらも、主人公が孤独を抱えた人々の存在に思いを馳せるシーンが印象的です。連続殺人被害者の痛みと怒り、トラブルを引き起こさずにはいられない女の焦燥、連続殺人犯の動機と背景。強い情念が交錯します。主人公の義父である会長が、「権力者とは何か」を語る場面では、権力の恐ろしさと虚しさを考えさせられます。ハッピークリスマス!という作品ではありませんが、この季節に読みたい一冊です。

紹介者
職員B子
書名 名もなき毒
著者名
宮部みゆき
分野
日本文学
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所在
閉架(CS162728)
請求番号
913.6/M