メインコンテンツに移動
おすすめ本

図書館員のおすすめ本

「藪の中」の死体

紹介文

 元監察医が解き明かす「推理小説」・「未解決殺人事件」の犯人像  TVドラマの世界の監察医のように、法医学の視点で死体を分析し、犯人を捜しだすことができたなら、推理小説を読むとき、新たな楽しみが生まれるのではないだろうか?  例えば、メッタ刺しにされた死体と聞くと、私たちは、残忍な犯人像を思い描く。 しかし、法医学的には、こういった犯罪は、力の弱い女性等に多く見られるそうである。なぜならば、力の弱い者は、被害者の報復を恐れ、相手が絶命していても何度もとどめを刺してしまうからである。  この他にも、この本では、「絞殺体」と「首吊り自殺体」、「溺死体」と「死後に水中に遺棄された死体」の違い等が、実際の事件や推理小説等に沿って解説されている。  著者は、この本の中で法医学の視点で芥川龍之介作『藪の中』の真犯人に挑戦している。最後まで犯人が語られないこの小説。著者が導き出した真犯人とは?そして真相はいかに!?  法医学を知ると、推理小説の真犯人について、「法医学的に、この犯人はありえない」などと言い出す人がいるかもしれない。しかし、それでは小説を読んでもちっともおもしろくない。  著者は、以前『酒鬼薔薇事件』において、法医学の視点から、犯人像を「30代前半男性」と推理した。しかし、実際の犯人は、ご存知のように「14歳の少年」であったという経験をしている。  このように、現実の世界でも、小説の世界でも、人間は理論では説明できない行動をとることがある。 そう、推理小説は、法医学を知ってもなお、おもしろいということである。

紹介者
幽玄
書名 「藪の中」の死体
著者名
上野正彦
分野
法医学
蔵書検索 検索
所在
1FCS図書(CS220582)
請求番号
498.9/U