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照柿(てりがき)

紹介文

 『八月二日だった。』・・・で始まる重苦しい物語。  登場するのは警視庁捜査一課警部補・合田雄一郎、熱処理工場で働く野田達夫、そして佐野美保子。この3人の僅か7日ばかりの出来事が、灼熱に覆われて展開します。  捜査中に駅のホームで飛び込み事故を目撃した合田は、ある女に遭遇。その女・美保子を通して、17年ぶりに幼馴染の野田と再会します。青年時代の悪行から脱皮した野田は、自動車部品工場で熱処理を担当する熟練社員で、中学教師の妻と小学生の息子がいる一見平凡なサラリーマン。しかし、現場管理者として多大なストレスを抱え、そのやり場のない怒りや焦りから極度の不眠に見舞われます。そんな中、疎遠にしていた父親が死に、警察から追われる美保子を匿い、美保子をめぐって合田と争うなど、どんどん破滅に追い込まれていく野田の姿は、くどいほどに詳細な熱処理工程の描写に重なります。題名の「照柿」とは熟した柿のような朱色のことで、ジリジリ暑い西日や熱処理工場の高炉の炎を連想させます。  高村薫の小説は難解で長編です。この「照柿」も読み切るには相当の覚悟が必要です。繰り返される熱処理工程の説明に挫折しないでくださいね。 

紹介者
くちびる山
書名 照柿(てりがき)
著者名
高村薫
分野
日本文学
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所在
閉架(CS121617)
請求番号
913.6/T