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ごめんなさいといえる

紹介文

 この本は、三浦綾子の小説、主に『氷点』について書き上げるまでのエピソードや解説、読者からの手紙の紹介、夫、光世氏の日記とインタビュー等から構成されています。  昭和38年の元旦の朝日新聞に「一千万円懸賞小説の募集」が社告として出ていて、これに応募して、入選したのが処女作『氷点』です。  「夏枝は独身の医師村井に心惹かれた。その村井と二人でいたいばかりに、3歳のルリ子を外に遊びに出した。そしてルリ子は通りかかった男に殺されてしまう。夏枝は悲しみのあまり、ノイローゼになり、ルリ子の幻影を見る。そしてルリ子の身代わりにと、育児院から女の子陽子をもらって、一生懸命に可愛がる。「夫と別れることはできても、陽子と別れることはできない」というほど、可愛がっていたが、それがルリ子を殺した男の娘と知って、次第に憎くなる。いろいろと意地の悪いことをして、遂には陽子の恋人に惹かれ、その恋人の前で陽子の秘密を暴く。陽子は自殺をはかる。」(本文より)  原罪とは「生まれながらにして持っている罪」で、倫理道徳以前の罪であるということ。 夏枝、啓三、村井など登場人物の一人ひとりが非常に個性的で罪深い。「この原罪を自覚した時、人はどうなるのかということを、『氷点』の中に書きたかった。」と著者は言っています。  一方、天使のような心を持ち、一生懸命生きてきた陽子には心が洗われるような気がします。そしてもう一度『氷点』を読み直してみたくなります。

紹介者
さくらんぼ
書名 ごめんなさいといえる
著者名
三浦綾子
分野
近代 : 明治以後 評論, エッセイ
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所在
3F和書
請求番号
914.6/M