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ドーナツ経済学が世界を救う-人類と地球のためのパラダイムシフト

紹介文

 ドーナツ経済学といっても、あの食べるドーナツについての経済学ではない。本書においてドーナツは、21世紀の地球社会が直面している諸課題を包括的に把握し、その解決を模索するための概念図である。ドーナツの内円は、社会的土台、外円は環境的限界を示す。現在の地球社会は、この内円においては冨の集中と格差の拡大、そして外円においては気候変動と環境汚染の拡大によって、内円と外円によって囲まれる人間が安心して暮らせる公正な領域が失われつつある。そこで、著者が処方箋として提示するのが、1.目標を変える、2.全体を見る、3.人間性を育む、4.システムに精通する、5.分配を設計する、6.環境再生を想像する、7.成長にこだわらない、新しい地球市民のための経済学である。
 著者のケイト・ラワースは、オックスフォード大学で政治学、哲学、経済学を学び、卒業後は、ザンジバルの農村でマイクロクレジットの普及に取り組む。さらに国連で『人間開発報告』の作成に関わった後、国際NGOオックスファムの研究員として世界の貧困や環境問題の現場を経験し、20年後再びオックスフォードに戻って経済学を学びなおす中で、このドーナツ図に辿り着いた。このドーナツは国連の持続可能な開発目標(SDGs)2015~2030の議論にも影響を与えている。
 経済を専門とするか否かを問わず、是非一読を進めたい1冊だ。

紹介者
萱野 智篤 先生
所属学部
経済学部
書名 ドーナツ経済学が世界を救う-人類と地球のためのパラダイムシフト
著者名
ケイト・ラワース
分野
経済学
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所在
3F和書
請求番号
331.04/R