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事大主義―日本・朝鮮・沖縄の「自虐と侮蔑」

紹介文

 「事大主義」というのは、小さいもの・弱いものが、強いものに従おうとする傾向のことであり、一般的には「事なかれ主義」のような意味で用いられることが多い言葉です。そして多くの場合、「事大主義」という言葉は、自分の考えや意見をもち、それに従って行動しない人たちという意味で批判的なニュアンスで用いられます。  この本では、そのような「事大主義」の考え方や行動の様式が、日本を含む東アジアの多くの地域において克服されるべき問題として論じられてきたことを、様々な資料を紹介しながら実証的に論じています。そしてその中で、「事大主義」という言葉を他者に投げかける人間が、その行為を通じて自分自身は事大主義者として批判をされることがない、いわば安全地帯を確保していく様子を描き出している点も大変興味深いです。  「自分の頭で考え、判断し、行動する」ことが、実際には非常に困難であること。それは、この100~150年以上にわたって克服されない課題として残り続けている点から証明されること。しかしそれだからこそ、「自分の頭で考え、判断し、行動する」ようになることが、現代においても重要であること。そのような当たり前だが非常に困難なことについて、時間はかかるけれども確実な思考を積み重ねていけるきっかけになるものとして、この本を推薦します。

紹介者
宮崎 靖士 先生
所属学部
社会福祉学部
書名 事大主義―日本・朝鮮・沖縄の「自虐と侮蔑」
著者名
室井 康成
分野
歴史-近代
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所在
2F文庫新書/中公新書
請求番号
210.6/M