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失われた足跡 ; 時との戦い

紹介文

(再掲載:2006年4月掲載)
 最近はなかなか長編小説を読むことがなくなりましたが、皆さんと同年齢の頃にはまったのが、ガルシア・マルケスやボルヘスなどを始めとするラテン・アメリカ文学です。その中でも忘れられない1冊がこれで、アメリカの大都会に住む音楽家が、ある大学から未開種族の楽器の入手を依頼されて、気乗りのせぬまま、アマゾンのオリノコ河上流へと出発するところから物語は始まります。楽器を求めて近代的な都市から未開のジャングルへとさかのぼっていく中で、自然そのもののような女性や不思議な楽器と出会ったりしながら、主人公はさまざまな体験をします。日本の昔話である「浦島太郎」やJ.コンラッドの「闇の奥」を連想させる、冒険小説と哲学が融合したような不思議な味わいの作品ですが、現在の我々の人生とどこかでつながっているのを感じます。最初は衒学的で稠密な文章に少し苦労すると思いますが、是非一度カルペンティエールのめくるめく世界に触れてみてください。

紹介者
田辺毅彦先生
所属学部
文学部
書名 失われた足跡 ; 時との戦い
著者名
カルペンティエ―ル
分野
ラテン・アメリカ文学
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所在
閉架
請求番号
960.8/R-3(閉架番号:CS125268)