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トイレの話をしよう : 世界65億人が抱える大問題

紹介文

 まず、表紙がすごい。バッチリメイクのむちむち女性が裸でトイレットペーバーに巻かれている。そこにきてタイトルが「トイレの話をしよう」。これは、手にとらずにはいられない。  本書はショッキングな事実の提供から始まる。公衆トイレも整備されておらず、掘り込み便所も、便器もバケツも何もない屋外で排泄をしている人が、二十六億人もいるというのだ。  貧しい国への支援といえば、飲み水の提供、学校の建設等の目に見えやすいものを考えがちだが、下水設備、公衆衛生の支援こそ最も緊急に必要なものだと本書は訴えている。汚物処理の問題が改善すれば、下痢が減り、それだけで驚くほど多くの命が救われるのだ。しかし、トイレの話は政治家にも慈善家にも避けられてきた。そこに警鐘を鳴らそうというのが、著者の姿勢である。  本書の語り口は軽快だ。トイレをめぐる世界の事情について、皮肉たっぷりに臨場感溢れる紹介がされている。イギリスには公衆トイレがなく、カフェに入って食べたくもないマフィンを注文しなくてはトイレに行けない、中国の田舎では個室に扉のない「対面式トイレ」があり、挨拶をすべきかどうかで悩む、インドではトイレ付の家を持つ男に嫁ぐことがステータス等、様々な逸話が紹介されている。もちろん日本は、最もトイレが発達しているトイレ好きの国として紹介されている。日本のトイレは「ハイテクコントロールパネルのついた『ロボトイレット』」と呼ばれている。  トイレの話をすることは、文化の話をすることでもあり、命の話をすることでもあるのだと、このキュートな表紙の本から学ぶことができる。

紹介者
職員B子
書名 トイレの話をしよう : 世界65億人が抱える大問題
著者名
ローズ・ジョージ
分野
住生活史
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所在
3F和書
請求番号
383.9/G