図書館員のおすすめ本
顰蹙文学カフェ
紹介文
顰蹙(ひんしゅく)文学者を自認する高橋源一郎と山田詠美が、ゲスト(2人が見こんだ顰蹙作家)を招き、文学やるなら顰蹙買ってなんぼだよねーと語りあう対談集です。作家の名前をぽんぽん出しながら、「彼は隠れ顰蹙だ」「せっかく顰蹙買ってるんだから」「最近の新人は顰蹙を買わない」などなど、顰蹙が文学者にとっていかに大切かを面白くかつ真剣に語っています。「文学とは」という現代ではあまり語られなくなった古風なテーマが逆に新鮮で、作家の文学への愛やこだわりを感じることができます。 また、あまり普段知ることのない文学界の人間関係や出版社と作家の関係を垣間見ることができることも魅力です。瀬戸内寂聴はデビュー当時顰蹙を買い、5年間どこの文芸誌にも書かせてもらえなかった、など衝撃的なニュースも出てきます。ホスト役の2人が選考委員をしている経験から、文学賞の存在と選考の意味について、などという話題も出てきます。作家はやはり賞が欲しい、新人賞はジャッジかスカウトか、選考委員にいるべき重鎮、などの話に花が咲きます。名前が出てくる作家は大変偏りがあるのですが、その偏りを楽しむというのが、この本の醍醐味だと思います。偏りをふまえた上で、作家を知るひとつの手段としてこの本をお勧めします。
紹介者 |
職員B子
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書名 | 顰蹙文学カフェ |
著者名 | |
分野 |
日本文学
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蔵書検索 | |
所在 |
3F和書
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請求番号 |
910.264/T
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