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早春賦
紹介文
明治維新後、日清戦争に日本が勝利して間もなくの頃。金貸業から事業拡大した大堂家の令嬢・菊乃のもとに縁談が舞い込んだ。相手は身分違いの伯爵家の嫡男。彼と初めて顔を合わせた瞬間、菊乃は恋に落ちる。堂々とした立ち振る舞いと、眩いほどの美しさ、加えて二十一歳という娘盛りの彼女は、嫁ぎ先でも大切にしてもらえると確信していた。しかし待っていたのは、妾の存在、隠し子、財産横領、そして我が子の流産という残酷な現実だった。 それまで家族に大事にされ、苦労や挫折を知らなかった菊乃。そんな過酷な状況の中で、彼女の内に埋もれていた才覚が、芽生えの時を迎える。 華族という地位を欲した大堂家と、金を欲した仁礼家の利害の一致から生まれた婚姻。若さと希望に満ち溢れた菊乃は、爛れた伯爵家の闇を知ることとなります。しかし、泣いて逃げ帰るような真似をしないのが菊乃という女。腐りきった伯爵家を自らの手腕で次々と変えていきます。 明治から大正を駆け抜ける一気読み必至のスピード感。菊乃の胆力としたたかさ、そして愛。激動の時代を生きた菊乃の美しい生き様を、ぜひその目でご覧ください。
紹介者 |
WM
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書名 | 早春賦 |
著者名 | |
分野 |
近代・明治以後
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蔵書検索 | |
所在 |
3F和書
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請求番号 |
913.6/Y
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