「ばふりばふり」と優雅に回る回転扉の美しさには、通り抜けに細心の注意が求められます。この小説もまた、興味本位で手に取り自分の頭で考えないで語りだすと火傷するかもしれません。全編にわたる性交描写、これはあくまでも錯覚(まやかし)であり、作者が本当に語りたい事象は、言語の精巧さ、音の響きが生み出す情景、そして言葉そのものが持つ創造する力ではないかと感じました。第29回 三島由紀夫賞の授賞式の記者会見で、擬態語に関する質問に対し、作者は「70年前に読んだ本の記憶」だと語りました。それは、作者の記憶の奥底に刻まれた「言葉」への終わることのない探究心の表れであると感じられます。
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| 書名 | 伯爵夫人 |
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「君の行為の格律が君の意志を通じて普遍的な自然法則になるかのように、行為せよ。」とカントは言った。僕たちはしばしば「倫理的に~」と言う。しかし果たしてそこに何かしらの原理や法則を僕たちは見出しているのだろうか。上掲した、カントの主張する行為の原則に至るまでの道筋ともなるこの『基礎づけ』は、現代倫理学の様相を知るうえでの「基礎づけ」にもなるし、僕たちの行為を方向付ける「基礎づけ」にもなる。それだけではなくこの書物は「自由」の概念についても検討されている。果たして大学生には一定の自由が認められているのかを考えるうえでも参考になるかもしれない。また、この訳は註も非常に豊かで参考になるうえに「啓蒙とは何か」も収録されている。これは知性を働かせるという生きていくうえで必要なことにかかわる考察を十分に活性させてくれるだろう。
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新しい「としょかんニュース(No.321 ★2025 Autumn)」
が発行されました。以下の内容が掲載されております。
・10月から12月までの開館日程
・HOLLY(文献検索)の新インターフェースのお知らせ
・他
カズオ・イシグロ氏に関する研究書は数多く存在しますが、長崎市出身の大学教授による視点は、他の研究者とは一線を画す鋭さと深みを備えており、非常に読み応えがあります。特に印象的だったのは、P183の第Ⅵ章「座礁した船」――『わたしを離さないで』に関する考察です。私が興味を持ったのはP183 Ⅵ座礁した船『わたしを離さないで』より、柴田元幸氏との対談で彼は『たとえばジョージ・オーウェルの『1984年』が、未来や執筆した時代へのコメントになったのと同様の理解をされたくないために、「もうひとつの現実」、「もし・・・・・だったら」という仮想の現実空間を、現代に生み出した』と語っています。未来派SF的に解読されることを回避し、これを「我々が住む人間の状況の、一種のメタファー」にするために、イシグロ氏は敢えてリアルタイムの年代を設定したのだと語ります。
| 紹介者 | |
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| 書名 | カズオ・イシグロ:境界のない世界 |
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| 請求番号 |
EBSCOhostデータベースの新インターフェイス移行に伴い、「HOLLY(文献検索)」の画面が
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新しいインターフェイスへの移行日:2025年8月5日
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