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武士道

紹介文

 札幌農学校で教えていた新渡戸稲造(1862-1933)が、アメリカで療養中の1900年に英語で書いた本がこの『武士道』(原題Bushido: The Soul of Japan)です。
 新渡戸は武士道の源泉として、仏教、神道、儒教を挙げます。次に、武士道の徳目として義、勇、仁、礼、誠、名誉、忠義がそれぞれ説明されます。『武士道』を読んでいて気付くのは、新渡戸が武士道の徳を説明する箇所で頻繁に西洋の例を用いていることです。例えば、義について説明した章で新渡戸は、同じような道徳観がキリスト教の聖書の中にも見られると述べています。このように、新渡戸は武士道の徳を西洋のキリスト教やことわざや小説などと比較して説明します。そうすることによって新渡戸は、日本の道徳を特別視して美化するのではなく、それぞれの文化は一見異なるけれども、その根底には共通する部分があるのだということを説いているのです。国際政治学者の高坂正堯氏が指摘するように、これは国際的なコミュニケーションの方法として現在でも通じるものです*。
 『武士道』を読むときに注意してほしいことは、この本は外国人に日本の文化を広めるために書かれたということです。新渡戸は日本に武士道精神を復活させるためにこの本を書いたのではありません。武士道精神は重要だがそのままでは利用できないというのが新渡戸の姿勢でした。ではどうすべきか。それは実際に本を読んで皆さんに考えてほしいと思います。
 最後に、岩波文庫版の『武士道』は少し訳が古いので、読みにくい場合は新しく出版された訳書を読んでみてください。例えば次のようなものがあります。

・奈良本辰也訳・解説 出版者: 三笠書房 1997/7 所蔵: 3F和書 156/N
・岬竜一郎訳 出版者: PHP研究所 (発売) 2003/9 所蔵: 3F和書 156/N

*高坂正堯『豊かさの試練』新潮社1979年、172ページ

紹介者
山本 慎平 先生
所属学部
短期大学部
書名 武士道
著者名
新渡戸稲造(著)、矢内原忠雄(訳)
分野
武士道
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所在
2F文庫新書
請求番号
156/N