「物語が終わらず、果てしなくページが続いてほしい」と、心から願ってしまうほど、魅力的な作品でした。絵本でも児童書でもないのに、文章には不思議な温もりがあり、読み進めるうちに自然と優しい気持ちになります。細かな描写、短く印象的なフレーズや人物の動きの描写など、巧みに織り込まれ、ひとつひとつの場面が鮮やかな映像となって脳裏に焼き付き、まるで映画館でスクリーンを眺めているような感覚に包まれました。
読了後、「なぜこれほどまでに心が揺さぶられたのか?」、津村さんの過去の作品を読み漁るうちに気づいたのは、おそらく『ネネ』が物語に深みを与え、人が生きることの苦しさや喜びをより鮮明に浮かび上がらせていたのだと感じました。
私が、特に印象に残ったのは、P204の手元にある作品のシーン、P302の山下さんとの会話、そしてP438の「自分の道」を見つける場面など、心に残る感動的なシーンが数多くありました。ぜひ多くの方に読んでいただきたい一冊です。
| 紹介者 | |
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| 書名 | 水車小屋のネネ |
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この作品、時間や歴史の可塑性、父と子の記憶、文化の変容といった多様な主題を、異なる角度から描き出したSF短編集です。
『魔術師』:タイムマシン&マジックの重厚なシーンは、TRICKの(山田奈緒子演じる仲間由紀恵さんや、その父山田剛三演じる岡田眞澄さん)のシリアスシーンを思い出させます。『ひとすじの光』:競馬好き、『時の扉』:歴史好き、『ムジカ・ムンダーナ』:音楽好き、『最後の不良』:カルチャー好きの方々には、より興味深い内容となっています。
そして、壮大な時間軸に翻弄され、歴史の歪みの連鎖を鮮やかに浮かび上がらせる『嘘と正典』。『革命道中♪』の歌い出しのように、ただただ圧倒されます。経済学者のこぼれ話などを挟んでくるところも二度、三度と唸らされます。
| 紹介者 | |
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| 書名 | 嘘と正典 |
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| 請求番号 |
『これからのテレビ業界はクイズ番組が生き残るだろう。』という言葉を残し、テレビ業界を去った芸能人の言葉どおり、クイズ番組が目まぐるしく変化した。
2022年に出版された本書では、クイズ王の思考回路が疑似体験できる、まさにクイズ哲学書と言えます。 物語は、勝ち抜き形式の生放送クイズ番組「Q-1グランプリ」。勝ち残った主人公・三島玲央、対戦相手は戦略的な思考、言語化能力を併せ持つ、記憶力抜群の本庄絆。白熱する最終問題で予期せぬ事態。イカさまなのか?テクニックなのか?賞金1千万円の行方は?一つずつその謎を解き明かそうとするシーンは、黒澤明監督の「羅生門」を見ているかのように視点の置き方ひとつで謎がさらに深まります。まさに真相は「藪の中」。
なによりも冒頭の一行、クイズ番組の出題文としてもおかしくない名句として印象に残ります。
| 紹介者 | |
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| 書名 | 君のクイズ |
| 著者名 | |
| 分野 | |
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| 所在 | |
| 請求番号 |
小説『君のクイズ』が実写映画化され、2026年5月15日に公開されます。これは、小川哲さんにとって初の映画化作品となります。
主人公の三島玲央役には、俳優の中村倫也さんが、対戦相手役の本庄絆役には、神木隆之介さん、番組の総合演出役にムロツヨシさん、監督は「ハケンアニメ!」で吉野耕平監督がメガフォンを握ります。
映画公開を記念して、WEB展示では小川哲さんの著作を一覧で紹介し、本館所蔵資料の請求番号も併記しています。「レビュー」がある作品については、朱書きされたタイトルから直接アクセスすることができます。
| テーマ | 「小川哲の世界」 |
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| 展示期間 |
深夜、トイレに起き上がり用を足した直後、めまいと吐き気に襲われた。そのまま便座に座って安静にすればよかったのに、反射的に立ち上がってしまい、そこで記憶が途切れた。次に意識を取り戻したのは、おそらく二十分後。左の鼻から血が垂れ、体は動かず、目だけが動いた。天井からの眩しい光、床に広がる鼻血——まるで映画のワンシーン。記憶の断片をつなぎ合わせながら、私はふと思っていた。
「読みかけの『YABUNONAKA』を、読み終わりたい、、、、」
本作品は、加害者、被害者、関係者が複数の視点から語る物語。めまぐるしく視点が切り替わる現代版『藪の中』であり、圧倒的な言語化力によって、言葉が容赦なく思考に流れ込んできます。「読み切らずして、このままでは終われない。」金原ひとみの筆力に、命を掴まれるような一冊です。
| 紹介者 | |
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| 書名 | YABUNONAKA:ヤブノナカ |
| 著者名 | |
| 分野 | |
| 蔵書検索 | |
| 所在 | |
| 請求番号 |
2025年度の修士論文が閲覧できるようになりました。 利用を希望する学生は、 「 卒業論文閲覧申込票」に必要事項を記入の上、「学生証」を添えてカウンター職員にお渡しください。
葬儀会社に就職した東雲は、彼らの処置に深く心を奪われ、厳しい研修に身を投じていく──そこは、激しく損傷した遺体を、生前の面影へと近づける「特殊復元処置衛生課」。
本書では、さまざまな遺体と向き合うなかで、自身の迷いや恐れに直面していく納棺師たちの姿が描かれる。不慮の事故や事件、良かれと思って悩んだ判断ですら、凄惨な遺体になる確率は決して低くない。火葬を待機する間であっても、遺体の最期の姿は、否応なく遺族の目に晒されることになる。
人を選ぶ内容ですが『死生観』を問う貴重な作品だと思います。運ばれてくる遺体の描写を通して、私は何度も自分自身の最後を想像させられました。
いつ訪れるかわからないその瞬間、自分はどのような生き方を望むのか。
この小説を通して、今一度、自分の本音と向き合ってみてはいかがでしょうか?
【第19回 小説現代長編小説新人賞受賞作】
| 紹介者 | |
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| 書名 | アフターブルー |
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