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キリスト教入門

紹介文

 本書は,本学教授である山我哲雄先生による「非キリスト教徒のための『教養としてのキリスト教入門』」書である。山我先生は,日本における「旧約聖書」学の第一人者である。
 本書は,岩波ジュニア新書シリーズの一つではあるが,その内容は高度であり,かつ深い。名著である。それも,山我先生の長年の誠実な実証研究の積み重ねによるものである。『キリスト教入門』という題名から,本書は,キリスト教の考え方とその理解の入門書のように思われるが,そうではなく,キリスト教の歴史を通時的に概観するキリスト教史の良質な入門書(歴史書)である。特に,ユダヤ教とキリスト教との関係,イエス・キリストの誕生からキリスト教の成立を扱った第1 章から第3 章では,旧約聖書と新約聖書の言い伝えが,歴史的な事実から批判的に検証される。厳密な史料批判に基づくその叙述は,評者の知的関心を大いに掻き立てるものであった。その語りぶりは,「ダ・ヴィンチ・コード」に登場するハーバード大学ロバート・ラングドン教授を彷彿とさせる(失礼!)。
 キリスト教は,その時代時代の政治・経済・社会との緊張のなかで,格闘や妥協を重ねながら,その考え方や有り様を変えてきた歴史的な存在であると考えられる(極めて生々しい政治的存在であるようにもみえる)。評者としては,2000 年もの間,人々の間で支持・信仰の対象となったその存続理由を追求したくなる。機会が得られるのであれば,山我先生に教えを請いたい。山我先生のような知的巨人と(密に関わったことはないが)大学の同僚として在職できていることに驚きと喜びを感じ,その知的営みに,自分の研究分野で,少しでも近づいていくことができれば,と思っている。
 本学の学生にも,「宗教学」の先生の本という前提知識をもたずに,一冊の読み物として本書を手に取って欲しい。岩波ジュニア新書創刊の目的である「現実に立ち向かうために必要とする知性,豊かな感性と想像力」を育むための種が,本書にはちりばめられている。

紹介者
足立 清人先生
所属学部
経済学部
書名 キリスト教入門
著者名
山我 哲雄
分野
キリスト教
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所在
2F文庫新書/岩波ジュニア新書
請求番号
190/Y